先日観てきた
映画「草間彌生∞INFINITY」の反響
はとても大きく、特にインスタの方では国内だけでなく
海外の方からもいいね
を頂きました。
草間アートの力
を感じています。
草間アートの素晴らしさは、
・作品が表現している現代の感覚
・そこに反映されている女性ならではの繊細さ
にあると感じます。
そして、この映画はジェンダーを扱う作品としてもとても重要なテーマを描いています。
そこで今回は、草間作品の魅力と、この映画を観て感じるジェンダーの問題について考えていきます。
CONTENTS
女性のアートを認められない世界
草間彌生さんが単身渡米したのは、1950年代でした。
アメリカは日本と比べて革新的な国ですが、そこですら
女性アーティストの単独個展は無理
だったのです。
そんな時代に草間彌生さんは
渡米後すぐにシアトルで個展
を開催しました。
それだけの情熱と才能があったのです。
しかも、アメリカは移民の国と言っても白人の社会。
その中で
・アジアの有色人
・女性
・無名のアーティスト
ですから、いかに突出した才能だったかが伺えます。
しかし、NYに移ると、封建的な社会の壁に直面したのです。
女性のアーティストを認められない社会
だったのです。
有名な男性アーティストたちに次々とアイディアを使われ、男性たちだけが認められていく。
先に発表した草間彌生さんには一切光が当たらない。
20世紀は写真、映像、印刷物などの複製技術が発達した時代です。
その時代に、
作品の背景に作品の画像のプリントを多用する
まるで壁紙のように、草間彌生さんは
自分の作品を無限に複製
します。その方法は当時、誰も考えたことがなく
画期的で、誰もが感心
しました。
しかし、草間彌生さんはそれで評価されることはなく、同じアイディアを使って
が高い評価を得たという話が残っています。
あの有名なアンディ・ウォーホルまで…ととても落胆しました。
複製技術時代の芸術について詳しく描かれている本はこちら
とても重要な本として芸術の世界でも注目されている良書です。
マイノリティの声を翻訳する
草間彌生さんは自分自身がアジア人で女性であることから、
・人種差別
・女性差別
と、二重の差別に苦しみます。
その中でシンパシーを感じていくのは
マイノリティー
の人たちの存在です。
LGBTへの差別が烈しい
40年前に男性同士の結婚式を挙げた
のです。
21世紀の感覚を40年前(日本は昭和です)に持っていたのだから
時代を捉える感覚の鋭さ
は本当に素晴らしいです。
現代を切り取るアート
草間彌生さんに代表されるような現代アートに限らず、文学などのあらゆる芸術の分野では、
古くからある作品ばかり評価される
傾向にあります。
古典といわれるものに価値を感じて
しまいがちですが、現代を生きるわたしたちにとって
必要なのは特に現代のもの
であるはずなのです。
もちろん古典はとても重要です。
そこを否定しているのではなく、
現代の芸術作品を認めていく目を持つこと
が必要だと草間彌生さんも言っています。
わたしたちが生きているのは紛れもなく
今、現在
なのです。
その時代で
・何が起き
・どう捉え
・何を感じ
・どのように未来をつくっていくのか
それをリードしていく重要な一人として
感性が鋭いアーティスト(芸術家)
という存在があるのです。